リアルな航海士の1日

初めまして、元航海士のkazuです
本記事では航海士(外航船)のリアルな1日がわかります
経験上一番キツかった三等航海士に絞って、紹介していきます

質問者様
質問者様

航海士になろうと思って会社の人から話を聞いたけど、リアルな勤務体系を教えてほしいです
残業がほぼないなんて信じられません

kazu
kazu

わかりました。リアルな話をすると、残業は非常に多いです。
一方で暇な時はあります。
暇な時間を作り出すかは皆さんの仕事ぶり次第ですが、激務が避けられない時はあります。

航海士の1日と言っても、どの瞬間を切り抜くかで印象が大きく変わります
これは一般社会人も一緒で忙しい時もあれば、暇な時もあると思います
例えば「繁忙期と閑散期がある」「一大プロジェクトに参加している」などがあります

しかし航海士は少し特殊です
航海士が忙しくなる時は3パターンあります

  1. 荷役
  2. 輻輳海域
  3. トラブルが起きた時

このページを見てる皆さんは航海士に少しでも興味があるはずです
航海士は正真正銘、日本の経済を支える重要な仕事であり、やりがいがあります
年収も非常に高く設定されており、間違いなく裕福な暮らしができます

その一方で、離職率が高いのも事実です

主な理由は「思っていた仕事と違う」「思っていたより辛い」「ライフイベントがきっかけで価値観が変わってしまった」などです

そこで上記のようなミスマッチが起こらないように、リアルな生活を知ってほしいと思っています

なので包み隠さず、私の経験に沿った1日を暇な時と忙しい時に分けて紹介します

※具体的に書いていたら記事が長くなったので、本記事は暇な時のみの紹介になります
忙しい時についてはこちらを参照ください

暇なとき

1. 大洋航海中

暇な時のタイムスケジュール
  • 7:20
    起床

    速攻で作業着に着替える

  • 7:30
    朝のミーティング

    ブリッジや会議室で行われるミーティングに参加する
    乗組員の1日の予定をここで知る
    ここで必要書類のサインを上長から集めることがポイント

  • 7:40
    朝食

    急いで朝食を摂る。だいたい目玉焼きと小さい魚が出てくる

  • 7:50
    登橋

    1等航海士が前直(4:00-8:00の当直)に入っているので、遅刻厳禁
    なるべく早く登橋して良好な人間関係を築く

  • 8:00
    当直

    見張りをする
    大洋(太平洋・インド洋・大西洋など)には船が全然いない
    レーダーで48マイル(約85km)レンジにしても、1隻もいないことが多々ある

  • 10:00
    雑談

    8:00-12:00は見張りをしつつ船長や部員(フィリピン人やインド人など)と雑談
    船位の計算や各種記録作業などもする

  • 12:00
    引き継ぎ

    二等航海士に当直を引き継ぐ

  • 12:10
    正午計算

    船のパフォーマンス等の計算をする
    慣れるまでは時間がかかる

  • 12:20
    昼食(休憩時間スタート)

    立ちっぱなしで疲れた足を休めつつ、昼食を掻き込む
    昼食の後は自室でゴロゴロして休憩する

  • 13:00
    事務作業

    本来は自由時間ですが、ここでサボると痛い目を見る
    暇な時に自分の仕事を進めることが重要
    必要な備品の発注や担当機器の点検などをしっかりと行う

  • 14:50
    お茶会の準備

    だいたい15時からお茶会があるので、コーヒーやお菓子の準備

  • 15:00
    お茶会

    作業でわからないことがあれば上長に聞く
    または部員と交流を深める

  • 15:30
    事務作業

    本来は自由時間ですが、ここでサボると痛い目を見る
    溜まっている仕事をさばく

  • 17:00
    休憩

    夕食に備えて自室で休憩

  • 17:20
    食事交代

    当直中の一等航海士が夕食を摂るので、その間代わりに当直に入る
    この時が唯一誰もブリッジに来ないので、一人の時間を過ごせる貴重な時間
    沈む夕日を見ながら物思いにふける

  • 17:50
    夕食

    この時を楽しみに働いていると言っても過言ではない

  • 18:10
    事務作業

    本来は自由時間だが、なるべく自分の仕事をさばいておく
    特に仕事に追われていなければ、当直に向けて自室で休憩する
    この時間帯は休んでいても、そこまで印象が悪くならない

  • 19:50
    登橋

    1等航海士が前直に入っているので、遅刻厳禁
    世間話を交えつつ、当直を交代する

  • 20:00
    当直

    基本的に真っ暗(月が出てればかなり明るい)
    見張りをしつつ部員と雑談しまくる

  • 24:00
    引き継ぎ

    二等航海士に引き継ぐ

  • 00:10
    巡検

    船に異常がないか見回りをする
    異常があればすぐに担当者に連絡する
    船の安全のために非常に重要な仕事だが、手を抜く人が多い

  • 00:40
    シャワー

    1日の疲れを癒す

  • 00:50
    休憩時間

    心の底から休める時間
    調子に乗って動画や映画を見過ぎると寝不足になって体がもたなくなる
    ただ働きっぱなしだったので休憩もしたい、この葛藤を毎日繰り返す

  • 1:30
    就寝

    6時間寝れる日は大歓喜
    休める時には休むのが大事

上記のように暇な時でも全然自由時間はありません
暇な時こそ自分の仕事をしっかりやる必要があります

自分の仕事をしっかり終わらせていれば、上記の事務作業の時は休憩しても問題なかったです
(次から次へと仕事が降ってくるので、なかなかそのようなケースにはなりませんでしたが)

2. 休日

過酷な船内生活といえども、月に2回は休日がもらえます
この貴重な休日でしっかりリフレッシュすることが重要ですが、船内の雰囲気によっては休日返上で仕事をしていた方が評価されます

そんな中でも今回は平均的な休日の紹介をします

休日
  • 1:00
    お酒を嗜む

    休日前日の当直後から休日が始まる
    休日が被ってる仲良い先輩とお酒を飲みながら、ライブDVDや映画を見る
    この時間が一番幸せ

  • 3:00
    就寝

    好きなことをしながらゴロゴロして寝落ちする

  • 11:00
    起床

    寝坊したことを後悔する
    ゴロゴロして昼食に備える

  • 12:00
    昼食

    ゆっくり味わいながら食事をする

  • 13:00
    メールチェック

    メールチェックをしつつ、休日後の仕事の準備をする
    ノープレッシャーでチンタラ仕事をして良いので、気持ちが楽

  • 14:30
    休憩

    自室で夕食までゴロゴロする
    船内wifiがそれなりに使えるので、陸の情報収集と下船後何を買うかネットサーフィンする

  • 17:20
    食事交代

    当直中の一等航海士が夕食を摂るので、その間代わりに当直に入る
    休日なので少し億劫

  • 17:50
    夕食

    翌日からまた仕事が始まるので、憂鬱な気持ちになり出す

  • 18:10
    メールチェック

    明日からの仕事のスケジュールを自分なりに立てる

  • 19:00
    休憩

    ひたすらに体を休める

  • 23:00
    就寝

    8時間は寝ようとする

休日はメールチェックや仕事の準備をしつつ、体を休めることに専念していました

ジムで汗を流す人もいるが、私は寝るかゴロゴロするかの二択でした

まとめ

大洋航海中は暇なので、溜まっていた仕事や今後の作業の準備等をして、負担を減らすようにしました
自分の仕事がなくなれば当直以外は自由に時間を過ごすことが出来ます

今回は暇な時は何をしているか、具体的に紹介しました
忙しい時については次の記事で紹介します

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