外航船の航海士の年収大公開
航海士って20代で年収1000万になるって本当なの?
本当だよ!
年にもよるけど年収1300万くらいになる可能性もあるよ
はじめまして、元航海士のkazuです
このページは【航海士の年収】を何処よりもリアルに紹介します!
※ここでは外航船に絞らせていただきます
役職別の年収
航海士(機関士)には役職があり、上から船長 > 一等 > 二等 > 三等となっています
役職が上がるほど様々な責任が大きくなるため、給与が高くなります
年収 | 手取り | |
船長 | 1200万〜2500万 | 850万〜1500万 |
主席一等航海士 (機関長) | 1000万〜2000万 | 750万〜1200万 |
次席一等航海士 (一等機関士) | 900万〜1600万 | 650万〜1050万 |
二等航海士 (二等機関士) | 800万〜1400万 | 600万〜950万 |
三等航海士 (三等機関士) | 700万〜1300万 | 550万〜900万 |
機関士の給与は担当外でしたが、概ね上記の表に従っている印象です
それぞれの役職になる年齢はバラツキがありますが、概ね下記の様になっています
- 船長 (機関長) 42歳〜
- 主席一等航海士 (一等機関士) 35歳〜
- 次席一等航海士 32歳〜
- 二等航海士 (二等機関士) 26歳〜
- 三等航海士 (三等機関士) 22歳〜
年代別の年収
年代別の平均年収を見ていきましょう
航海士・機関士 | 平均 | |
20代 | 800万 | 341万 |
30代 | 1100万 | 474万 |
40代 | 1400万 | 502万 |
50代 | 1600万 | 613万 |
どの年代においても平均の2倍以上の年収になっていることから、
外航船の船員の給料は高いと言えます!
ボーナスによって年収が左右されます
つまり営業成績によって年収が上下するため、年収のレンジの幅が大きいです
しかし外航船を扱う海運会社は社員を大切にする傾向が強いと思います
1000億近い赤字を出しても4ヶ月程度のボーナスがあった会社があるとか
2022年はコロナの影響で海運バブルとなり、18ヶ月のボーナスが出る会社があるとか
なぜ高給取りか
これだけ高年収だと、外航船の船員に興味を持つ就活生が出てくるのではないでしょうか
私もこの高年収に釣られた一人です
海洋大学や神戸大学など、船員になるための資格が取れる大学を卒業してから入社するというのが定番ですが、現在は自社養成制度があるため一般大学からも船員になることができます
この年収条件を満たすのは超一流企業の中でもごくわずかです
一般大学から目指すにも十分価値があると思います
では、なぜ高給取りなのかを私なりに考察しました
大きく分けて3つになると考えています
- 過酷な環境
- 人手不足
- 新規参入が難しい
1. 過酷な環境
- 船の人間関係の構築が難しい
色々なバックグラウンドを持った人がいます
昭和の価値観丸出しの人もいれば、親しみやすい人もいます
相性が悪い人と乗り合わせた時は、どう足掻いても仲良く離れません - 半年以上は陸にすら上がれない
コロナが原因で、2022年現在は上陸ができません(国内上陸もできません)
リフレッシュすることができないのでメンタルがしんどいです - サービス残業が蔓延している
月220時間ほど残業していましたが、申請できたのは50-60時間ほどでした
一人当たりの仕事量が多いので、起きている間は働き続けなければいけません
寝るか働くかの二択です
上記のような過酷な環境で働いているため、給料が高くないと誰も働きたくないと思います
2. 人手不足
とにかく一人当たりの仕事量が多いです
航海士は見張り業務だけで8時間あります
それに加えて各作業の記録や、作業の許可をもらう書類作りなどの書類作業、船内の備品の発注や在庫管理、ミーティングの準備などがあります
三等航海士は特に雑用が降ってくるので、自分がやるべき仕事に取り掛かるまでに時間がかかります
もし三等航海士が二人いれば、見張り業務時間を一人あたり4時間に減らすことができ、他の時間を書類作業等に充てることができます
しかし船員の人手不足のため、各社そのような配乗にする余裕がありません
そのような状況にも関わらず、外航船を扱う会社の中には1兆円を超える売上を出しています
人手が足りていないが、その分会社の利益の恩恵を受けやすいから給料が高くなるのだと思います
3.新規参入が難しい
船員になるための国家資格の取得が難しく、誰でも外航船の船員になれるわけではないです
日本国内を主とする内航船は強烈な人手不足で雇い先の会社が2000社以上あります
一方で外航船を扱う会社も船員不足ではありますが、会社数が僅か13社です
従って商船系の学校を出ないで外航船の船員になろうとしても、99%不可能です
(現在は自社養成制度があるため、一般大学からでも外航船の船員を目指せます)
大学に入学する段階から船員を志さなければなれない職業であるにも関わらず、日本の輸出入貨物の約62%が日本船団によって支えられており、非常に重要な役割を果たしています
GDP世界3位の日本の経済活動を支えているが、新規参入が難しいため外航船の船員の需要があることで給料が高くなっているのだと思います
<参考>
国土交通省 参考資料 ; https://www.mlit.go.jp/common/001220679.pdf
国土交通省 令和の時代の内航海運に向けて ; https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001365409.pdf
日本内航海運組合総連合会 組織組合 ; https://www.naiko-kaiun.or.jp/union/union02/
まとめ
20代で年収1300万円以上になる可能性は業績次第で大いにあり得る
年代別で比べても外航船の船員は高給取り
過酷な労働環境であることや、新規参入が厳しく人手不足が故に高給である
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